ランド鑑定設計 代表 佐藤浩一さん

様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。

中古住宅の流通を適正に
建物調査をスタンダードに

Q.出身は徳島だそうですが、北九州に来られたのはいつ頃ですか?

福岡市にある大学を卒業後、3年ぐらい東京で建設関係の仕事をしていましたが、自分にはサラリーマンは合わないと思い退職し、知り合いがいる北九州市に来たのが30年くらい前です。

それから他の仕事をしながら、自分でできることはないかと専門の資格を取ろうと考え、不動産鑑定士を取ったのが今の仕事をはじめるきっかけです。門司で個人事務所を立ち上げ、15年ほどになります。

Q.仕事をする環境として、北九州とはどういう地域でしょうか?

大都市の方が仕事は多いけれど、それだけ専門職の数も多いので大変なこともあります。

その点、北九州市は都市規模としてはほどほどでしょう。特にメリット、デメリットというのは感じません。

15年前、個人事務所を立ち上げたばかりの頃は、人脈もなく顧客を確保するのに苦労しましたが、なんとかやってきました。

Q.15年前は、景気があまり良くない時期だったのでは?

バブルが崩壊して不景気でしたが、それなりに仕事はありました。

その頃よりも、今の方がもっと深刻ですね。

民間、公共ともに悪くなって、ここ2、3年は個人事業主には厳しい時代がきています。

でもその中にあって、住宅の調査、検査の仕事が徐々に増えてきてはいます。

Q.住宅とは、一戸建ての中古住宅ですか?

はい、言わば中古住宅の健康診断的な仕事です。

戸建ての中古住宅を購入する際、これまでは築年数で主に判断した不動産屋さんの提示価格で取引されるのが一般的だったと思いますが、中古車と同じように、それがどの様な状態なのかをしっかりと見極めてから検討することが望まれます。

例えば外壁にクラックがある場合、それが単に経年劣化でメンテナンスの時期にきているだけの問題なのか、それとも地盤が傾いているなど根本的な欠陥なのかという事をきちんと判断する必要があります。

最近は景気動向や金利が下がっている事もあって、中古住宅の流通が増え、買う方の選択枝も増えていると思います。

金融機関の中には融資を判断するうえで、建物調査の報告書を義務付けているところもありますね。

不動産業界でも建物調査をするところが徐々に増えていますから、この流れが主流になって、消費者が安心して購入できるようになってほしいと思います。

特色を活かした多彩なイベント
リピーターで賑わう門司港エリア

Q.仕事上のお付合いなどで、会食される機会が多いのでは?

仕事の依頼先が県外の場合など、クライアントが北九州に来て一緒に食事に行くと、ほとんどの方が、お魚など和食が美味しいと言ってくれますね。

以前、毎年持ち回りで行われる九州の不動産鑑定士の会合が福岡で行われた際、自分が幹事になって門司港ホテルでパーティをしました。

門司港ホテルでは乾杯の瞬間、一斉にカーテンが開いて、関門海峡のパノラマが広がるという演出をしてくれました。

また、アトラクションとしてバナナのたたき売りや、若松のオヤジバンドを招待して演奏してもらったところ、とても面白く、皆さんに喜んでいただきました。

地元色が存分に発揮できて、とても良かったと思います。

Q.プライベートで良く行くお店などありますか?

特にここがというのではなくて、北九州はフレンチやイタリアン、中華、その他創作居酒屋など美味しいお店が揃っていますよ。

中でも最近は、飲食業では若い人が頑張っているなという印象があります。

北九州ファッション協会という異業種交流の場でも、若いオーナーが多い気がします。

これは飲食業に限らず様々なビジネス、業界に広がっていて、若い世代が地元で頑張っていることは、私としては意外であったんですが、期待してますし、また応援して行きたいですね。

Q.休日など時間がある時は、どのように過ごされていますか?

最近では、事務所にしている自宅から門司港まで、自転車で良く出掛けます。

門司港では地元の人やボランティアによる活動が盛んで、毎週かならず何らかのイベントが行われています。

ラジオの公開イベント、地元バンドのコンサートやレトロカーの集会、絵画展、最近では「おさんぽマルシェ」という雑貨市が人気で、大勢の人で賑わっています。

オーガニックのドリンクや軽食を出すオープンカフェなどもあって、アンティークの小物や家具、オーガニックの食事など、トータルで見ても門司港レトロの雰囲気にとても似合っていますね。

他にもあまり知られていませんが、レトロエリアから離れた場所にも、雰囲気のいいところや美味しいお店があります。

門司港レトロエリアは全国の観光客を誘致する目的で、開発が進められたのでしょうが、今では地元のリピーターが定着していると感じます。これは地元の人が地域を愛しているからこそだと思います。

若者が集まる学校や企業の誘致
人口減に歯止めがかかる施策を

Q.北九州が今後もっと魅力ある街になるには、どんなことが必要でしょうか?

このところ北九州市在住人口が減り続けているという現実があって、これはマイナスのインパクトがとても大きく、いろいろな意味でデメリットになります。

そこで、今一番必要なのは、この街に若い人がもっと増えるような施策をすることだと思います。

まず、若い人が集まるような大学や専門学校などを誘致する。そして若い男女が結婚して定住し、安心して子育てできる環境をつくる。

もちろん企業があって、ちゃんと仕事がもてる事も必要です。

大きな問題ですが、人口が増えるような政策に、行政がもっと力を入れてほしいと思います。

Q.文化や芸術面での活動は盛んなようですが?

先日、ソレイユホールのコンサートに行ってきましたが、とても良かったですよ。

ホールの稼働率も高いと聞きますし、リバーウォークの北九州芸術劇場も同様に、著名なコンサートや演劇などが上演されています。

また、最近では映画やドラマのロケ地としても注目されて、市内のいたるところでロケが行われているようです。

先日も、高倉健が関門橋を望む場所でロケをしている様子が報道されていました。

これらのロケ地めぐりをするツアーを企画したりロケ地マップを作ったりして観光資源として活用し、アピールしてはどうでしょう。

以前訪れたことのある尾道のように、観光客が集まると思いますよ。

Q.他の都市と比べて、高齢化が進んでいることも特長的ですが。

小倉北区の中心部に限って言えば、実は人口が増えているんです。

中心市街地に高層マンションなどが数多く供給されていますから。

病院やデパートなどが整っている都心部は、誰もが住みやすい場所です。

これからは容積率を緩和するなどして、利便性の高い街の中心部に、高齢者が住めるような施設づくりを考えたらいいのではないでしょうか。

自分自身、北九州に暮らしていて、年々魅力を感じるようになってきました。

大都市に行くと、高いビル群があって人も多くてそれはそれで魅力があります。

でも、北九州に帰ってくると、市場的に物足りないところはあるけれど、ほどほど都会でほどほど静かなこの街が、今ではいいところだと感じるようになってきました。

聞き手・文責/崎間恵子

不動産鑑定士・一級建築士事務所
ランド鑑定設計

住所/福岡県北九州市門司区大里戸ノ上2-6-6
電話/093-382-2020

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