古本清志さん(かんもん北九州ファンクラブ北九州市応援団会員)
様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。
介護のため定期的に帰省する暮らしから
Uターンを決め、夫婦で新生活スタート
Q.お生まれは旧小倉市になりますか?
今の小倉北区上富野に生まれて、高校卒業まで北九州にいました。大学進学で東京に行き、そのまま就職。大阪へ転勤した時期もありましたが、ほとんど東京で暮らしていました。退職後もその暮らしは変わらなかったのですが、北九州にいる母が老人ホームに入ったので、母の介護をするため、月に1回1週間ほどこちらに滞在するという生活をしていました。
Q.お母様の介護のためにUターンを考えられたのですか?
自分にとって小倉は生まれ育った場所ですが、東京にマンションを購入していましたし、家内は行かないと言っていました。そこへ一昨年3月の東日本大震災があり、ちょうどその日、私自身は北九州にいて、家内一人が東京のマンションで、まともに地震を体験してしましました。するとすぐにアメリカに住む娘から「東京は危ないから、離れたほうがいい。実家のある九州に行きなさい」と連絡があったんです。
Q.すぐに行動を起こされたのですね。
震災から一週間後に小倉に来て、1か月ほどこちらで過ごしました。その間ゆっくりする時間があったので、足立山麓を夫婦でよく散歩しました。桜のきれいな季節で、家内もすっかり気に入った様子でした。その時たまたま今のマンションの前を通りかかり、軽い気持ちで販売センターをのぞいてみたら物件があったのですが、その時は購入する気はなかったんです。その後また散歩の途中、このマンションに出くわしたので、これは縁があるのかもと思い、その時には家内もこのあたりの環境がすっかり気に入り「ここで暮らしてもいい」と言ってくれました。
Q.その約半年後に転居されたのですね。
平成23年の10月1日に帰ってきたのですが、11月18日に富野市場の火事で実家が焼けてしまいました。さらに、12月には母が脳内出血で救急病院に移され、その時は大事に至らなかったのですが、翌年の1月8日に亡くなりました。まわりには「せっかく帰ってきたのに運が悪かったね」と言う方もいましたが、自分としては短い間でも母のそばにいて、火事の後始末もし、最後は母を見取ることもできたので、親孝行ができたと思っています。
バス路線など、快適な交通アクセス
日ごろは健康第一で歩いてお出かけ
Q.久しぶりの北九州での生活はいかがですか?
食べ物は美味しいし物価は安い。このあたりは静かでとても暮らしやすいですね。東京でも環境のいい所に住んでいましたが、やはり騒がしい町でした。むこうでは車を持っていましたが、こっちに帰ってきて手放しました。出かける時にはバスをよく利用しますし、できるだけ健康を考え歩くようにしています。砂津のバスセンターから北九州空港行きのバスがあり、新幹線を使って博多や東京へもスムーズ。小倉は交通の便がとてもいい。東京や大阪のような大都会ではないけれど田舎でもなく、とても住みやすいと実感しています。
Q.故郷ならではの同級生との交流もあるようですね。
小倉高校時代の同期生と月に1回飲み会をしています。他にもゴルフの会や囲碁の会、ワインの会などいろいろ。東京での会も年に数回あるので、すこし整理しないと大変なくらいです。それでもやることがなくて暇にしているよりは、忙しいくらいがちょうどいいですね。
Q.奥様はどのように過ごされていますか?
私とゴルフに行ったり、映画を見に行ったり、できるだけ夫婦で一緒に出かけるようにしています。また、最近は市民センターで行われている太極拳のサークルに入り、4月から韓国語のサークルにも参加するようです。近くを散歩してみて気づいたのですが、北九州はエリアごとにきめ細かく市民センターが配置され、その市民センターを基盤とした地域の人たちの交流の場が整っています。これは高齢者が趣味を楽しんだり、健康を維持するのにとても役立っているようです。
Q.身近に公共施設が整っているのも北九州の特徴でしょうか?
メディアドームの近くにある「北九州障害者スポーツセンター」では、プールで高齢者の方がリハビリをしていたり、健康づくりをしたりと、一般の人も利用できる立派な施設があります。また、八幡東区にある「いのちのたび博物館」なども、おもしろい展示物があるとてもいい施設です。この他にも市内にたくさんあるので、もっとPRしたらいいと思います。
都市と自然が共存する住みよい街
今後は、高齢者にやさしい施策を
Q.娘さんご家族は遊びに来られましたか?
去年の夏休みに家族でやってきて、2か月くらいいましたね。その間、近場のいろいろな場所へ出かけたのですが、中でも平尾台の千仏鍾乳洞は「映画のシーンみたい」と言って、とても喜んでいました。門司港レトロやお隣の下関、到津の森公園へも行きました。足立山で昆虫採集ができますし、小文字山の登山も楽しんでいました。
Q.自然が身近にあるのも北九州の良いところですね。
10月に引っ越してきた時、夜に鳴く虫の声には感激しました。散歩していると、春にはウグイスの声、夏には蝉しぐれと、季節ごとの風情が楽しめるのも、この町に暮らす魅力のひとつです。
Q.あえてお尋ねしますが、ここはもっと良くなるといいと思うことはありますか?
バスを利用する際に、買い物のキャリーバックを持って乗ってこられるお年寄りを見かけることが多く、あらためて高齢者が多い町だと感じます。一部では導入されているようですが、乗り合いバスなどで高齢者が楽に乗り降りできる、通院や買い物などの外出をサポートするようなサービスを充実させる。また、定額で何度でも使えるようなタクシーチケットなど、気軽に使えるシステムがもっとあるといいですね。
Q.最後にUターンを検討している方にアドバイスがあれば教えてください。
いろいろな選択肢がありますが、自分の経験から言って、故郷があるなら退職後は故郷に帰るのがいいと思います。地方には自然があり、仲間がいて、趣味が楽しめます。人それぞれでタイミングというのもあり、私の場合はそれが良かったのでしょう。最初は小倉に帰ることに反対だった家内ですが、毎日「出かけましょう」と言うのは家内のほうから。夫婦仲良く健康第一で、これからの人生を楽しみたいと思います。
聞き手・文責/崎間恵子
【会社情報】
【かんもん北九州ファンクラブ】
ホームページ / http://kan-kita.com
【北九州市応援団】
北九州市HP / http://www.city.kitakyushu.lg.jp
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