山村 利行さん(有限会社協積シグマ 代表取締役)
様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。
公害を克服し、住みよい街へ
北九州発信の技術力に誇り
Q.北九州市の今をどのように見ていますか?
北九州市は今、都市としての成熟期をむかえていると思います。なぜかというと、非常に能力の高い市長が3代続いたからです。谷伍平氏、末吉興一氏、そして今の北橋健治氏。金持ちは一代で成れるけれど、文化は3代かかる。市長に恵まれたことが、都市が今のように発展した要因だと私は考えます。さらに一方で、新日鉄など企業の存在が大きくかかわっています。
Q.かつては公害で苦しんだ時代もありましたが。
高度経済成長期に4大工業地帯の1つとして、北九州市は時代をけん引してきました。その結果、七色の煙が空を汚し、洞海湾は死の海とまで言われた。その頃は経済第一で人の健康に思いが至らない時代。経済がうるおい成長を実感してはじめて、環境を考えるようになったんです。そこで厳しい環境基準を設けそれをクリアするために、煙突に集塵機を付けたり、排水をろ過するプールをつくったりと、さまざまな企業努力がされました。「空を汚さない、海を汚さない」という思いで、ばい煙に含まれる粉塵や排水の汚泥を99.9%除去。新日鉄をはじめ多くの製造業にたずさわる企業の努力によって、北九州市が環境に関して世界に誇れる優れた技術をもつに至ったのです。
Q.今は住みよい街だと感じますか?
具体的には、周辺の市町村に比べてゴミ袋が安い。下水道は100%※に近いくらい整っています。さらに、政令市に指定されたことで都市高速道路の整備もいち早く進み、都市基盤が整えられました。また、食べ物では安くて新鮮な魚が手軽に食べられます。これは小売店が多く、流通経路がしっかりとしている証拠です。水揚げのある港はあっても、流通システムが機能しないと消費者に届きません。ここではどこのスーパーでも新鮮な魚が並んでいます。他の土地で暮らしたこともありますが、私は北九州が一番住みよいと感じますね。
※下水道普及率99.8%(平成23年度末現在)
Q.環境の他に、北九州が誇れるものは何でしょうか?
1962年に開通した若戸大橋は、当時、東洋一といわれた国内初の長大吊り橋。その後の関門海峡や明石海峡大橋などへと続く技術の礎となっています。これを設計したのは九州工業大学の教授。同じ時期、東京オリンピックが開催されるため、中央の大学教授にお願いできないという経緯があったようですが、まさに「メイド イン 北九州」の技術が、日本中の大規模吊り橋へと花開いて行ったのです。また、産業医科大学や九州歯科大学などの優秀な大学が立地しているのも北九州の特徴です
自分のスキル+新しいチャレンジ
元気な高齢者に、社会貢献の場を
Q.山村さんにとって思い出の場所というのはありますか?
好きな場所として一番に思いつくのは平尾台。若いときに行ってカルチャーショックを受けた、強い印象があるからです。それは、自然豊かで電線など遮るものが何もない風景の中を、赤や黄色のカラフルな服を着たかっこいい女性ダンサーの一団が颯爽と歩く姿を見た経験。偶然出会った、日常ではありえない景色に衝撃を受けたことが、ずっと今も強く残っています。その強烈なイメージから、その後も何か新しいことにチャレンジするとき、そのことを思い出します。平尾台は自分にとってリセットできる場所。そこに行くと、くよくよしていることが、ちっぽけなことに思えてきますよ。
Q.今後はどのような作品を撮っていかれるのですか?
カメラの世界がフイルムからデジタルに代わり、写真をやめようと思った時もありました。しかし、自分にとってのスーパーカメラとスーパーレンズに出会い、また新しい創作意欲がわいてきました。今後は主に女性をモデルにした作品を撮りたいと思っています。私は人目を引くカッコいい構図を決め、モデルのピュアな心有りを何かしら発見して、これを繰り返しイメージして考える。そして自然光を操り、誰でも世界一とっておき美人に撮影するためシャッターを切る自信があります。
Q.最後に、これからこの街に期待することは何でしょうか?
若い労働人口が減って、高齢者が増えていくという現状にあって、難しいのが雇用問題です。年をとっても働きたいと思っている人はたくさんいます。でも働くところがない。多くの高齢者が今までのスキルだけでなく、新しいことにもチャレンジしたと思っています。子育て支援でも何でもできますよ。しかし、一方で若い人たちの雇用も確保しないといけない。そこで、65歳以上は年金があるので賃金は安くていい。生きがいとなる仕事を与え、シェアした分を若い世代の雇用機会に回せば、街全体が元気になっていくのではないでしょうか。こういった施策を、企業と行政が力を合わせてやっていってほしいと思います。
聞き手・文責/崎間恵子
【会社情報】
【有限会社協積シグマ】
本社事務所(太陽光発電システム設置)
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