倉橋良夫さん(野村證券株式会社北九州支店支店長)

様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。
第十四回 北九州市の良いところ再発見
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  ゆとりある市街地や豊富な自然 政令指定都市ながら、のびやかな印象の街  
 
鞘ヶ谷ほたるの里(戸畑区)
鞘ヶ谷ほたるの里(戸畑区)

  倉橋さんにとって、一昨年の7月に北九州支店へ赴任してこられた時が、学生時代に修学旅行で訪れて以来の九州だった。「北九州市は政令指定都市ということもあって、来る前は高いビルが林立する大都市のイメージがありましたが、実際にはゆったりとしていて、周辺には自然も多くのんびりした印象でした」とおっしゃる。郊外まで行かなくても、市街地にほど近い場所でも「蛍」が見られることも驚きの一つだとか。同支店社員の2割強を占める転勤族の方々も、物価が安い、人情が厚いと、この街に住みやすさを感じておられるそうだ。さらに「地元への愛着が強く、他の中堅都市に見られるような東京志向がないのもこの街の特徴」と、赴任早々の小倉祇園太鼓の様子を見て実感された倉橋さん。時に耳にする「気性が荒い」とか「怖い」という印象は、実際に暮らしてみて感じたことは一度もない、と力強い言葉をいただいた。これは映画「無法松の一生」などの影響が大きいのかもしれない‥‥

 
  都市の随所に残る近代日本の足跡 製造業から未来産業が集積する街へ  
 
 北九州市で好きな場所はとお尋ねすると、“関門海峡”をあげる倉橋さん。「美しい海岸や洋館の街並みというのは他にもありますが、対岸が泳いで渡れそうなくらいに近く、ダイナミックな景観がすばらしい」と。さらにこの場所が、様々な歴史の舞台だったことも大変重要だとも。北九州全体を見渡すと、明治維新という時代の転換期に重要な役割を果たした関門海峡にはじまって、かつて官営製鉄所が置かれた新日本製鐵、公害を克服する過程で培われた環境産業の基盤となる若松のエコタウンなど、地理的な広がりを見せる景観や施設が、近・現代日本史という時間の流れでつながっている。さらには、安川電機などのロボット技術やTOTOの衛生機器、半導体技術、自動車産業など、最先端技術がこの街に集積されている事は、誇るべき北九州市の財産だと倉橋さんは言う。「この街の魅力をもっとアピールするには、風景を楽しむだけの観光ではなく、若い人たちが歴史を辿りながらこれらの技術を学習する機会をもっと設けてみては」と、活性化へのヒントを語ってくれた。
関門海峡
関門海峡
 
  集積された産業・技術を発信 新北九州空港開港を機に、新たな時代へ  
 
新北九州空港
新北九州空港

  去る3月16日、新北九州空港が開港した。すぐに新会社スターフライヤーの羽田便を利用された倉橋さんは「ゆったりとしていて、なかなか快適なフライトでした」と、その笑顔からも乗り心地ちの良さが伝わってくる答えが返ってきた。そして、この空港の存在こそが、倉橋さんが語る北九州市の“時空の旅”における、未来への窓口とも言える。「未来型産業や循環型環境都市のノウハウは、開港したばかりの新北九州空港から、国内はもとよりアジアに向けて広く発信されていくのでは」との話しに、この街がまた大きな時代の転換期を迎えようとしていることに気づかされる。「交通のアクセスが良くなければ物流の拠点にはなりえない」。仕事柄、常に社会や経済の動きに目を配っておられる倉橋さんの言葉には、確かな情報に裏付けられた明確さが感じられる。そして何より、この街のことを理解し、愛着を感じておられることが伝わってくる。

 
  インタビューを終えて  
 
取材に先立って社員の方々にアンケートを実施し、北九州市のイメージや良いところをまとめてくださった支店長の倉橋さん。何事においても情報収集を欠かさず、誠実に対応される姿に、仕事のみならず生き方すべてに対する真摯な姿勢を見た思いがしました。
ライター/崎間 恵子
 
新北九州空港
メーテル

●新北九州空港

所在地/ 北九州市沖周防灘
  (旅客ターミナルビル/北九州市小倉南区空港北町)

規模/総面積373ha、長さ4125m、幅900m

アクセス/ 北九州都市高速及び九州自動車道利用
  小倉駅から車で約30分
  黒崎駅・下関駅から同約40分

 

北部九州全体、さらにはアジアと日本のつながりにおいても重要な役割を担う新空港が、今年3月16日に開港。1日21時間利用、羽田便は1日最大17往復、年間利用者は100万人以上を見込んでいる。
小倉城

●小倉城
所在地/北九州市小倉北区城内2-1

開城時間/ 9:00~18:00(11月~3月は17:00まで)
  ※入城は30分前まで

入城料/一般350円、中学・高校生200円、小学生100円
駐車場/あり

1602年、細川忠興により築城され、現在の天守閣(四重五層)は昭和34年に建てられた。「歴史に学んで、未来を開く小倉文化城」をテーマに、城内にて「からくりシアター」や「体験コーナー」などが楽しめる。
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