椎名直人さん(株式会社DNPファインオプトロニクス 製造第4本部 製造第2部 部長)
様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。
エレクトロニクス分野の最先端技術
電子機器に欠かせない素材を開発・製造
Q.御社の事業内容を簡単に教えていただけますか?
DNP大日本印刷は”未来のあたりまえを作る”という言葉を掲げ、”印刷”の事業領域をより広く捉え、社会的にニーズの高い環境やエネルギーなどの分野にも取り組み、先進的で独自性のある製品を提供しています。
DNPというと一般的に出版や商業印刷がメインの会社というイメージが強いと思いますが、エレクトロニクス分野もひとつの大きな事業領域となっています。
その分野に該当するDNPファインオプトロニクス黒崎工場では液晶ディスプレイで重要な役割を果たしているカラーフィルターという部材を主に製造しており、印刷技術を基礎としてガラスに赤青緑の光の三原色を印刷します。
DNPは業界トップクラスの生産能力と高品質を誇っています。
ここでは主にスマートフォン関連のカラーフィルターを製造しており、現状最もハイスペックな製品へ部材供給しています。
Q.北九州市以外にも工場はありますか?
はい、主にカラーフィルターを生産している拠点は全国に4箇所あります。
広島県の三原市と兵庫県の姫路市、三重県の亀山市、そしてここ北九州です。
以前は埼玉にもあり、私自身、出身は埼玉でそこが最初の勤務地でした。次に三原に移り、さらに4年前こちらに転勤してきました。
Q.関東のご出身ですが、こちらに来られた時の印象はどうでしたか?
自然の中に都市があるというのが第一印象で、こんなところはあまりないと思います。駅のすぐそばに工場があり、反対側には商店街が広がっています。そして、海は近いし山も身近にあるという環境、街と自然が融合していてとても素晴らしいと思いますね。
それから、自然災害が少ないというのも特徴です。関東にいた頃は頻繁に地震がありましたが、ここではほとんどありません。九州は台風が多いと聞いていましたが、実際住んでみると心配するようなことはなく、災害面からも安心して住める街だと思います。
環境首都100万本植樹プロジェクト
植樹会を通じて、地域社会に貢献
Q.自然が豊かな環境にあって、企業として地域に根ざした活動などありますか?
北九州市全体が環境やエネルギーに関心をもって様々な活動が行われているようで、当社も生物多様性の保全の取り組みとして、3年前から「まちの森」(環境首都100万本植樹)プロジェクトの植樹会に参加しています。これは若松北海岸のひびきなだ埋立地に、100万本のどんぐりの苗を植えるという活動で、地元の企業や学校などから多くの方々が毎年参加されているようです。
私も昨年子どもと一緒に参加し、貴重な体験をすることができました。
会社として3回目になる今年は、工場全体から約150人のボランティアが集まり参加する予定になっています。(今年は3月28日に実施)
Q.子どもたちと一緒に植樹をすると、木の成長を見守るのも楽しみですね。
車で近くを通った時に、「ここで去年、一緒にどんぐりを植えたね」と話したりします。年に1回の植樹祭以外にも、どんぐりの苗を会社に持ち帰りポットで育て、次の植樹祭の時に植える(どんぐり銀行)という参加の仕方もあります。自然に触れるというのはとても新鮮で貴重な体験、北九州らしい良い取り組みだと思います。
※みどりネット事務局
http://www.machinomori.com/
豊かな自然の中で、季節を感じる体験
子どもも大人も「この街が好き!」
Q.はじめて北九州にこられた時と、実際に住んでみて印象は変わりましたか?
北九州に対するイメージというと、子どもの頃に知った工業地帯ということや、治安があまりよくないなどでしょうか。私は転勤の際、いつも家族が一緒なので家族目線で感じることは、4年間生活してみてとても暮らしやすいいい街だと言うこと。家族もみんな北九州が気に入っています。
引っ越してすぐに馴染んだのは子どもたちの方。すぐに方言で話すようになり、友達もたくさんできました。
子どもにアレルギーがあるので病院にかかっていますが、掛かり付つけの小児科の先生がとても熱心に対応してくださり助かっています。
医療機関が充実しているというのも安心です。
Q.その他、どんな点に暮らしやすさを感じますか?
スーパーなどに買い物に行っても、野菜や魚が新鮮で食べ物が美味しいですね。
それから身近でいろいろな体験ができるのもいいですね。例えば合馬のたけのこ狩りや若松のみかん狩りなど。
香月の黒川にホタルを見に行きましたが、水が本当に綺麗なことが印象的でした。自然の中でいろいろな体験が気軽にできるのがこの街のいいところ。
それから、門司港へも家族でよく出かけますが、長男は門司港の焼きカレーが大好きです。
Q.今後の北九州市に期待することはありますか?
他の都市より高齢化が進んでいるようですが、身近に高齢者向けの施設が建設されるなど、福祉事業は進んでいる様子。新幹線や高速道路、空港など交通の便もとても快適ですし、先にお話した環境への取り組みなども含め、現在実行している施策をこのまま推し進めていけばいいのではないでしょうか。
我が家では家族みんな、北九州に永住してもいいんじゃないかと話しているくらい。この街での暮らしを楽しんでいます。
聞き手・文責/崎間 恵子