丹保誠志さん(生涯現役夢追塾事務局長)

様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。
第十五回 北九州市の良いところ再発見
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  自分も経験した、リタイア後の気持ち 有意義なセカンドライフを求めて  
 
 昭和22年から24年生まれ、いわゆる団塊の世代が退職を控えた今、リタイア後の人生をどのように有意義に過ごすのかといったセカンドライフの在り方が様々なところで語られている。「生きがいを持て、趣味を持て」と言葉で言うのは簡単だが、なかなかうまくはいかない。仕事を通さずに友達を作った経験が乏しいため、奥さんのあとをくっついて歩くのはまだマシな方で、奥さんを通しても人間関係が構築できずに家から出ず、畳に張りつく“濡れ落ち葉”と称されるリタイア組も。
 団塊の世代。彼等は経済成長を支えてきた世代だ。そんな彼等が仕事そのものをアイデンティティにしてきたのは、ごくごく当たり前のことだ。そのアイデンティティを奪われ、途方に暮れる気持ちがよく分かるという丹保さん。「僕自身は“こんなんでよいのか症候群”と言ってますが(笑)、実際何をすればいいのかと不安で落ち着かない気持ちになるんですよ」。自らの離職直後の気持ちを教えてくれた。
 
  ものづくりの街で働いてきた北九州市の人々 彼等の経験や知識、人脈はこの街の宝  
 
エコクラブ エコクラブ
生涯現役夢追塾は、NPO法人里山を考える会が運営主体。東田エコクラブ内に本部を置く

  この北九州市にはなんと5万7000人ものリタイア予備軍がいるそうだ。丹保さんが事務局長をつとめる『生涯現役夢追塾』は、そんなリタイア組のシニアライフを充実させるための支援を行う。「北九州はものづくりの街。大小たくさんの会社があって、そこで働いてきた人々がいます。彼等の経験や知恵、人脈といったものを生かさない手はありません。彼等はますますのスキルアップを可能性として秘めているんです」。引退後も元気で若々しく、自然体で輝いている人は魅力的だ。そしてその魅力は、まわりの人にも若い世代にも影響するのだと丹保さんは言う。
 一人が元気になれば、まわりも元気になる。そんな相乗効果を繰り返すことで、北九州市の活性化や社会貢献にもつながってゆくという、希望に満ちあふれた『生涯現役夢追塾』のプロジェクト。夢探し、自分探しといったカリキュラムを経て、起業独立(ファウンダー)・NPO・指導者育成(マスター)・地域企業支援投資(エンジェル)の4つのコースに分かれて専門家の講座が受けられる。塾生同士のつながりを構築する、卒業後の進路を探してくれるなどサポート体制も万全だ。

 
  自然に恵まれた暮らしやすい街 情深い土地柄も北九州市の魅力のひとつ  
 
皿倉 菜の花
丹保さんの好きな北九州の景色。新緑の皿倉山と河川敷に咲く菜の花

  話の中、北九州市そのものについて伺うと、河内貯水池や足立山森林公園のあたり、若戸渡船…お気に入りの場所をたくさん挙げてくれた。自宅から見える新緑の皿倉山がとても素敵なのだと顔をほころばせ、「自然に恵まれて食べ物もおいしくて暮らしやすい街ですね」と話す。
 またもう一つ、丹保さんは人情味のある街だと北九州市を評した。「鉄の街、気が荒いような印象もありますが、それは“任侠”というか、昔風の情の通い方なんですよね」「人とつながる街です」。そんな風に言うのだ。
 丹保さんの故郷は広島だ。新日鉄への就職を機に北九州市に訪れたものの、上海への長期出張や東京勤務なども経験している。会社員としての時間の全てを北九州市で過ごしたわけではない。それでも「北九州を元気に!」と言う丹保さんの口調には、街への愛情が感じられる。『生涯現役夢追塾』にかける気持ち、「北九州を元気に!」という気持ち。それはまさに男気であり人情そのものだ。

 
  インタビューを終えて  
 
 6月末日をもって新日鉄を退職し、7月1日の朝一番で散髪に行ったという丹保さん。「俳優のユル・ブリンナーに憧れていましたがスキンヘッドの会社員はまずいかと思って」と笑う。とてもお洒落でかっこよかった丹保さん。美しくあろうと心掛けることや色気を保つこともまた、“現役”でいるために大切なことなのだなぁと実感しました。
ライター/加世田侑季
 
エコクラブ
 

●生涯現役夢追塾 事務局

所在地 北九州市八幡西区東田2-5-7
電話 093-662-3900
ホームページ http://www.yumeoi.org
 
広寿山 福聚寺

●広寿山 福聚寺

所在地 北九州市小倉北区寿山町6-7
アクセス 西鉄バス「広寿山」下車 徒歩5分
開門時間 8:00~17:00
料金 無料
駐車場 あり
問合せ 093-541-2270

 

足立森林公園の一角にある黄檗宗(おうばくしゅう)の寺。寛文5年(1665)、藩主・小笠原忠真が創建。慶応2年(1866)長州との戦いで兵火にかかり、多くを消失したが、本堂(享和2年(1802)再建)、総門、不二門、鐘楼などに昔の面影を見ることができます。坐禅会を毎月1回(第3又は第4日曜日)開催。詳しくはお問い合わせ下さい。
 
関門連絡船

●関門連絡船 (門司下関)

アクセス JR「門司港駅」より徒歩1分
営業時間 6:00~22:00
料金 片道 大人390円 小人200円 自転車200円
休業日 荒天時休
問合せ 093-331-0222

 

門司港と下関市の唐戸桟橋を結ぶ5分の船旅。何故か遠くに来たような旅気分になる。
 
若戸渡船

●若戸渡船 (戸畑若松)

アクセス 戸畑渡場 JR「戸畑駅北口」より徒歩10分
    若松渡場 JR「若松駅」より徒歩20分
営業時間 5:55~22:30
料金 大人100円 小児50円 自転車100円
年長者・障害者50円
(年長者施設利用証・障害者手帳等の提示が必要となります。)
問合せ 093-861-0961

 

洞海湾の戸畑渡場と若松渡場の約600mを往復する渡船。市民の足として親しまれている。
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