金子幸雄さん(株式会社 アドバンテスト 北九州 R&D センタ長)

様々な活動を通して交流のある方を紹介で繋ぐ、リレートーク形式のコーナーです。北九州に仕事や生活の拠点をもち活躍している方々から、この街の多彩な魅力を語っていただきます。

第十八回 北九州市の良いところ再発見

情報・通信・半導体という社会基盤のテクノロジーを
「試験」と「計測」の分野でトータルにサポート

私たちの普段の生活と切り離せない携帯電話やパソコン、テレビなどのデジタル家電、さらには自動車。

それら高速通信機器に組み込まれているさまざまな半導体デバイスや、電子部品の信頼性を支えるテストシステムを提供するのがアドバンテストの仕事です。

「半導体の試験装置であるテスタ本体はもちろん、周辺機器も含め、半導体試験にかかわるあらゆる機器をトータルで提供します。いわば『テスタの百貨店』とでも言えますね」と、センタ長の金子さんは分かりやすく説明してくれました。

創業は1954年。関東エリアを中心に国内はもとより、海外にも多数拠点があります。


北九州R&Dセンタ

その一つ、北九州R&Dセンタがスペースワールドで馴染み深い八幡東区東田に開設されたのが2002年でした。

「九州地区のお客様サポート拠点として、また中国や韓国をはじめアジア各地への玄関口として、北九州の立地が評価され開設されました。2006年度の地域別売上高の構成比は、アジアが全体の約6割を占めているほどですから、その役割は大きいですね」。

同社のメモリ半導体用テストシステムは世界NO.1シェアを誇っています。このような企業があることは、「ものづくりのまち」北九州にとっても財産と言えるでしょう。

企業として果たすべき社会基盤整備や貢献活動を推進
北九州産業学術推進機構へ半導体テスタ贈呈

北九州には学術研究都市をはじめ、市内各所にテクノセンターがあり、産業技術の高度化や活力ある地域企業の創出・育成に力を注いでいます。


学術研究都市ひびきの

そしてそれらを産学官連携のもとで推進できるよう財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)が設立されており、そこには集積回路の設計から試作、評価までを一貫して受講生自らが行うという「手づくり半導体集積回路講座」が開かれています。

これを開催しているのは日本では北九州学術研究都市だけ。

「昨年の秋、FAISへ半導体テスタの寄付を申し入れ、今年の4月贈呈式が行われました。これは主に関係会社である株式会社アドバンテスト九州システムズが支援をしており、今後もスキルアップが図られるよう全面的にバックアップしていきます」と企業としての地域貢献について話される金子さん。

テスタ導入によって、同講座で唯一不足していた最終段階のテスト技術を組み込むことができ、半導体開発のすべての要素を含んだ講座が可能になったそうです。

FAISが掲げる『ものづくり重視の人材教育』や『産学官共同の研究開発』などへの貢献は多大。

そして「一人でも多くの人にアドバンテストを知ってもらえれば」と、屈託のない笑顔で語ってくださいました。

JRウォーキングのおすすめコースで街歩き
太古にさかのぼる歴史の奥深さに触れる

日ごろ、神経を使う技術開発に携わっておられる金子さん。

かつては競技として卓球やマラソンなどをされていたそうです。

「こちらに来てからは体力が低下しないよう、もっぱら歩くことが多いですね。週末にはJR九州が企画するウォーキングを楽しんでいます」。

鹿児島本線や筑豊本線などのJR駅を下車して、10キロから12キロ、駅周辺をコースマップ片手に自分のペースでウォーキングをする手軽な街歩き。

これまでに折尾や木屋瀬、海老津、古賀、直方ほか各所へ出かけられています。

「ほとんどのコースに社寺や史跡などがあり、地域の歴史に触れることができます。そこでいつも実感するのが九州の歴史の奥深さです。たとえば以前暮らしていた東北地方では、主だったところは坂上田村麻呂あたり、せいぜい平安時代からの旧跡ですが、こちらではそれよりも古く、古代までさかのぼります。中には伝説の類の神話が伝えられているのも興味深いですね」。

時には歩きつかれた時に振舞われた食事に、地域の人の温もりを感じたりふるさとの懐かしい味を思い出されることもあるとか。

企業人として様々な土地での生活体験を通して、地域性の相違点や意外な共通点などを発見しながら、北九州での暮らしを楽しんでおられます。

インタビューを終えて

常に先端技術を開発し続ける技術者として、これまでに日本各地はもとより海外にも赴任されてきた金子さん。様々な土地での体験談など話は尽きませんでした。これからも街歩きなどを通じて、この街での暮らしをエンジョイしてください。

レポーター/崎間恵子

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